ARTデータブック(日産婦2016年)
当院の「移植あたり妊娠率」を更新しました。2023年5月
自然周期・低刺激法による体外受精の成績(当院)随時更新
2016年の統計より、胚移植あたり生産率を《生産周期数÷胚移植周期数》で求めると次のようになります。
胚移植あたり生産周期数の割合(2016年)
30歳 | 34% |
35歳 | 29% |
38歳 | 22% |
40歳 | 16% |
43歳 | 6.0% |
45歳 | 1.9% |
48歳 | 0.2% |
30歳 | 約17% |
35歳 | 約20% |
37歳 | 約25% |
39歳 | 約30% |
41歳 | 約40% |
43歳 | 約50% |
45歳 | 約65% |
*流産率は39歳以降、2歳毎に約10%ずつ増加しています
ヒトは他の動物より妊娠しずらい動物です。ヒト胚の染色体異常率が高いからです。ヒト胚の染色体異常率は、加齢に伴い高くなります。流産率は39歳以降、2歳毎に約10%ずつ増加しています。
*年齢の定義:採卵時の年齢(移植時の年齢ではない)
*対象期間:2015年〜2022年12月
*妊娠の定義:「胎のう」を超音波検査で確認
2023年5月更新
・当院の「移植あたり妊娠率」を更新しました。2023年5月
・当院の「採卵時の年齢」を更新しました。2024年1月
当院の採卵時の平均年齢は40〜41歳の間で推移しています。40歳以上の方の割合が多いのが当院の特徴です。(2024年1月)
通算の平均年齢 40.6歳
40歳以上の方の割合 67%
(対象期間:2016年1月〜2023年12月)
年齢区分別の採卵総数に占める割合
採卵時の平均年齢(当院,2016.1〜2023.12)
2016年 | 40.6歳 |
2017年 | 40.8歳 |
2018年 | 40.8歳 |
2019年 | 40.9歳 |
2020年 | 40.4歳 |
2021年 | 40.8歳 |
2022年 | 40.2歳 |
2023年 | 40.3歳 |
通算 | 40.6歳 |
39歳、月経周期が24-25日と短い方。月経時期の卵胞は1-4個、FSHは20前後を推移し、卵巣機能が低下した状況。人工授精3回を経て体外受精へ。月経3日目、卵胞は右なし、左9ミリの1個のみ。発育が早く、月経11日目には排卵済みの状況。数周期前にも同様の経過がありました。月経周期を整えるために、少量のホルモン剤を使用。翌周期の月経4日目、卵胞は右に5ミリ、4ミリ、4ミリ、左5ミリの4個。大きさは揃っていました。飲み薬で育てました。月経9日目、卵胞は右に11ミリ、11ミリ、6ミリ、左11ミリと同じ大きさで発育。その後、初回の採卵で成熟卵が3個採れ、ふりかけ法を行いました。ひとつの初期胚を新鮮胚移植しました。幸い妊娠されました。順調な経過で、無事に卒業されました。卵胞数が少なくなると、月経周期も不安定になります。月経時期の診察が大事です。(2024年7月)
41歳の方。AMH0.3、FSH20台前半。月経周期は24-26日と短い。前回の妊娠・流産は36歳時。他院で高刺激法の採卵2回(初回は受精なし、2回目は成熟卵なし)を経て、当院へ転院されて来られました。月経周期を整えるために、少量のホルモン剤を使用。翌周期の月経5日目、卵胞は右なし、左4ミリ、4ミリの2個と少ないのですが、大きさは揃っていました。少量の飲み薬で育てました。月経12日目、卵胞は13ミリ、11ミリ。その3日後に採卵し、成熟卵2個が採れ、ふりかけ法を行いました。5日目の胚盤胞が1個凍結(3BC)できました。子宮内膜の厚さはいつも6ミリ台。特別なことは何もせず、自然排卵周期で移植を行いました。幸い妊娠されました。4年半ぶりの妊娠でした。その後、無事に卒業されました。よい周期に恵まれました。(2024年6月)
30代後半の方。AMH0.4未満、男性不妊(顕微授精)。他院で高刺激法(ショート法、アンタゴニスト法)での採卵10回以上、移植12回を経て、当院へ転院されて来られました。月経6日目、卵胞は右なし、左に6ミリ、5ミリ、4ミリ、小さめの卵胞が3個あり、遺残卵胞はなさそうなので、飲み薬で経過をみる。月経11日目、卵胞は右なし、左に11ミリ、10ミリ、9ミリ、大きさは揃った状態。その後、採卵で成熟卵3個が採れました。精子数は極めて少ない。でも、3つとも受精、6日目の胚盤胞が1個凍結(4BC)できました。これまで妊娠反応が出ていなので、着床の窓のズレがないか等を調べるためにエラ・エマ検査を行いましたが正常でした。次は移植プラン。着床の窓にきちんと合わせて、自然排卵周期で移植を行いました。シート法も行いました。幸い妊娠されました。その後、無事に卒業されました。胚盤胞のグレードは低かったのですが、結果がでて良かったです。(2024年3月)
40歳の方。AMH1未満。35歳で結婚、男性不妊のため36歳より顕微授精を開始。複数の施設にて採卵8回、胚移植12回を経て、当院へ転院されて来られました。月経3日目、卵胞は右に6ミリ、5ミリ、左5ミリの3個。飲み薬で育てました。月経8日目、卵胞は11ミリ、11ミリ、7ミリ。その4日後に採卵し、成熟卵2個が採れました。5日目の胚盤胞が1個凍結(3BB)できました。月経4日目、卵胞は右に9ミリ、5ミリ、左なし、数は少なく、不揃い。残念ながら月経10日目には排卵済み(早すぎる)。周期を整えて、翌周期(乳酸菌の膣錠を使用しながら)移植すると2年半ぶりに着床反応あり。その後、胎嚢が確認でき、無事に妊娠9週で卒業されました。出産予定日は42歳の誕生日の後です。よい周期にめぐり合いました。腸活も大事です。(2024年2月)
38歳の方。これまでに複数の施設で採卵7回、移植9回を経て、当院へ転院されて来られました。月経4日目、卵胞は右に9.5ミリ、6ミリ、左に8ミリの3個と少ない状況。チョコレート嚢腫もありました。月経13日目に排卵。高温期のホルモン値が低く、すこしホルモン剤を使用。翌周期の月経3日目、卵胞は右5ミリ、左5ミリ、4ミリ。飲み薬でゆっくり育ち、月経18日目の採卵。成熟卵3個が採れました。精子不良のため顕微授精を行いましたが、3個とも受精し、幸いなことに胚盤胞2個を凍結保存できました。ご本人の希望で再度採卵へ。月経4日目、卵胞は右に6ミリ、6ミリ、5ミリ、左なし。月経8日目、右に10ミリ、10ミリ、左なし。その後、月経14日目に採卵、成熟卵2個が採れました。幸いなことに、今回も胚盤胞2個を凍結保存できました。ここまで内服薬のみです。自然排卵周期で移植しました。7日後のhCGは16と低値でした。あとは祈るばかりなのですが、その5日後は200台に上昇、さらに7日後は2,000以上となり、胎嚢10ミリが確認できました。無事に妊娠10週で卒業されました。卵胞数は少なく、精子も不良でしたが、何とかなりました。なお、採卵は2回とも自費です。保険適用採卵では貯卵はできません。(2023年10月)
43歳の方。AMH0.6、FSH20台前半、月経周期は25日と短い。他院で人工授精6回、アンタゴニスト法の採卵3回、胚移植4回を経て当院へ。月経5日目、卵胞は右に10ミリ、9ミリ、左に6ミリ、5ミリとやや不揃い。これまでのピルを止めて、弱目のホルモン剤で周期を調整。翌周期の月経3日目、4ミリの小卵胞が数個揃う。すこし遅めからのクロミッド内服、低刺激で育てると卵胞が3つ発育し、採卵で成熟卵2個、未成熟卵1個が採れました。3つとも受精、幸いなことに5日目の胚盤胞1個(4AB)を凍結保存できました。移植しましたが、残念ながら陰性でした。翌周期を休むと、さらに翌周期の月経6日目にやや大きめの卵胞があり、自然に経過を見ると20日周期と非常に短く、周期が不安定な状況。弱目のホルモン剤で周期を調整し、月経3日目、卵胞は右に5ミリ、左に5ミリ、4ミリと数は少ないのですが、大きさは揃っている。飲み薬で育てる。月経8日目、卵胞は12ミリ、9ミリ、8ミリ、7ミリ。その5日後に採卵し、成熟卵4個が採れ、5日目の胚盤胞が2個凍結(4BB、4AC)できました。翌周期、移植すると妊娠されました。無事に卒業。出産のご報告をいただきました。出産時は44歳でした。(2023年9月)
42歳の方。40歳時(胚移植4回後)に当院で採卵・ふりかけ法を行い、5日目の胚盤胞(4BC,3BC,4CC)を凍結しました。胚盤胞のグレード(4BC)は低かったのですが、移植後に妊娠反応が初めて陽性となり、その後無事に卒業・出産されました。今回、第二子希望で治療再開という経過です。再開後の初回移植(3BC)は陰性でした。最後の凍結胚(4CC)を移植し、胚盤胞のグレードは更に低かったのですが、幸いなことに妊娠されました。今回も、無事に卒業されました。(2022年5月)
42歳の方。AMH1未満、月経周期は24〜26日と短く、月経時期の卵胞は1-3個、FSHは20前後を推移し、卵巣機能が低下した状態。初回の採卵で成熟卵1個を採取、ふりかけ法を行い正常受精し、その後、5日目の胚盤胞(3CC)が凍結できました。すこし休ん後の2回目の採卵は、変性卵でした。ひと周期あけて、3回目の採卵へ。お薬ですこし育てると成熟卵4個採れ、ふりかけ法を行い、ふたつが5日目の胚盤胞(3CC、4CC)に育ちました。ここまで、凍結胚はいずれもグレードCCでした。自然排卵周期で最初の凍結胚を移植しましたが、残念ながらhCG値は低く、やがて陰性となりました。その後、幸いなことに、3回目の採卵でできた凍結胚で妊娠されました。自然排卵周期の移植です。無事に妊娠10週で卒業されました。胚盤胞のグレードは低かったのですが、何とか結果がでて良かったです。卒業時は44歳でした。(2022年4月)
40歳の方。高度の乏精子症のため顕微受精の適応。34歳から体外受精を開始。他院にて採卵5回以上(回数不明)、初期胚移植2回を経て、当院へ転院されて来られました。これまで成熟卵は採れて1個か2個、胚盤胞まで育たないという経過でした。月経6日目、卵胞は左に5ミリと4ミリの2個、右は見えません。初回の採卵、低刺激法で成熟卵2個が採れました。2個とも受精しましたが、発育は進まず、これまでと同様の経過。ここで、夫と相談。過去に泌尿器科で診察を受けていましたが、数年経過しており、あらためて男性不妊の専門外来で超音波検査を受けて頂きました。そこで精索静脈瘤を指摘され、早々に手術へ。その後、お休み期間を経て次の採卵へ。しかし、2回目の採卵は異常受精で培養中止。3回目の採卵は、精子数・運動率とも数値が以前より改善したおかげか、胚盤胞には到達したのですが、凍結には至りませんでした。翌周期の月経5日目、卵胞は右11ミリと7ミリ、左なし。休みました。さらに翌周期の月経4日目、卵胞は右4ミリ、左7ミリの2個。途中で通院できなくなり、お休みへ。翌周期の月経3日目、卵胞は右10ミリ、左5ミリ、卵胞数は少なく、大きさは不揃いと、卵巣機能は不安定な状況。周期を整えて、翌周期の月経3日目、5ミリの卵胞が数個、大きさが揃った状態。4回目の採卵、成熟卵が3個採れ、幸いなことに、初めて5日目胚盤胞2個が凍結できました。5年ぶりの胚移植。胚盤胞を移植すると妊娠されました。順調な経過で、無事に卒業されました。ご主人の迅速な行動が幸運を引き寄せました。土壇場でのファインプレーです。月日は瞬く間に過ぎ去るものです。(2021年9月)
43歳の方。38歳から体外受精を開始され、初期胚移植は1回、胚盤胞移植は5回以上(採卵回数は不明)。最後に胚盤胞ができたのは41歳。それから1年が経過したところで、当院へ転院されて来られました。転院前の一年間、FSHは20台で推移し、初回の採卵周期もFSHは20台前半と卵巣機能が低下した状態。自然の経過で卵胞発育は一つ、残念ながら変性卵でした。落胆失望を乗り越えて、前進。月経周期を整えて翌周期へ。月経3日目、胞状卵胞は2個と少なく、FSHは20台前半。ふたつの卵胞がゆっくり育ち、月経17日目の採卵。今回は成熟卵2個が採れ、幸い、胚盤胞を1個凍結できました。さらに翌周期、胞状卵胞は2個と少ないのですが、FSHは10台後半とすこし大人しめの値。お薬をすこし使用して、ふたつの卵胞が発育。月経14日目の採卵で成熟卵2個が採れました。胚盤胞を2個凍結。さらに翌周期、FSHは30台後半に跳ね上がる。自然周期で様子をみると卵胞がひとつ育ち採卵へ。無事に成熟卵1個が採れ、幸いなことに今回も胚盤胞を1個凍結できました。その後もFSHは10台後半から30台を揺れ動き、30台が続くこともあり、厳しい状況でしたが、その後の周期でさらに数個の胚盤胞が凍結できました。ビタミンDサプリ摂取を続けて正常値となり、「着床の窓のズレ」を補正して5日目胚盤胞を移植すると妊娠されました。無事に卒業されました。卒業時は44歳でした。安堵しました。(2021年2月)
30代後半の方。AMHは0.80。他院で採卵7回(高刺激法4回、低刺激法3回)、移植3回を経ての転院。卵胞数が少なく、かつ胚発育が不良で移植に至らないという経過。月経周期は25日と短く、初診時(月経13日目)、排卵済みでした。翌周期は遺残卵胞があり、同様に月経13日目に排卵済みでした。くり返す遺残卵胞は、大きな悩みのタネ。遺残卵胞を消してから初回の採卵へ。低刺激法で採れた成熟卵は3個。これまで、胚盤胞を凍結保存できたのは1回のみでしたが、その中から胚盤胞(6日目)が1個凍結できました。自然排卵周期で胚盤胞移植を行いましたが、判定日のhCG値は低く、残念な結果となりました。周期を整えてから二回目の採卵へ。月経3日目、卵胞は右卵巣に5ミリ、5ミリ、3ミリの3個のみ、左卵巣には見えません。卵胞数が少ないので自然周期で経過をみました。ほぼ同じ大きさの卵胞が二つ育ち、自然周期の採卵へ。成熟卵が2個採れました。ひとつが5日目胚盤胞(3CC)に育ちました。銅が高く、亜鉛が低い(58)のため、亜鉛サプリを摂取していただきました。自然排卵周期で再び移植に臨むと、胚盤胞のグレードは低いのですが、妊娠されました。そして、無事に卒業されました。ゴールにたどり着く道を探して、ようやく、偶然ですが、たどり着きました。卵子も老化しますが、精子も老化するので、年々、妊娠のハードルは着実に高くなります。妊活開始から5年が経ち、何とか飛び越えました。(2020年9月)
30代後半の方。FSHは20台後半、AMH0.20。他院にて高刺激法2回、低刺激法(クロミッド周期)1回を経ての転院。「卵胞は1個育ちましたが、空胞でした。その後は遺残卵胞が続いていました」。初診時、卵胞は左卵巣に1個、右卵巣には認めませんでした。自然排卵後、高温期のホルモン値は通常の半分以下と低く、高温期はガタガタした状態でした。高温期の途中から他の卵胞が育ち、遺残卵胞が次の遺残卵胞を呼ぶ状態でした。スプレーで排卵させた後、翌周期へ。月経4日目、5ミリと4ミリの卵胞が見えました。その二つの卵胞がゆっくり育ち、初回の採卵へ。成熟卵2個が採れました。ふりかけ法を行い、胚盤胞2個が凍結できました。次周期の胞状卵胞は2個。ホルモン剤は何も使用せず休みました。さらに翌周期、胞状卵胞は1個と少ない状態。自然排卵周期で移植を行いました。シート法も行いました。幸いなことに妊娠され、無事卒業されました。卵巣機能が低下すると、卵胞も育たず、育っても良いタマゴが採れなくなります。「難しいよ」と前医で言われておりましたが、幸い何とかなりました。(2020年7月)
43歳の方。他院にて採卵8回、移植4回(初期胚1回、胚盤胞3回)、直前の4回の採卵(クロミッド周期)では毎回成熟卵が1個ずつ採れましたが、途中で発育が停止という状況でした。遠方から当院へ転院されて来られました。月経時期の診察で大きな遺残卵胞があり、その周期は排卵も早く、24日間と短い周期でした。初回の採卵では卵子が1個採れましたが未成熟卵でした。この時点で測ったビタミンD値は12.5と欠乏状態でした。翌周期の採卵(クロミッド周期)では成熟卵が1個採れましたが、桑実期胚で成長が停止となり、前医と同じ経過となってしまいました。月経周期を調整して次の採卵へ。月経4日目、5ミリと6ミリの卵胞が数個見えました。今回はクロミッドは使わず、他の方法ですこし刺激をしました。成熟卵が4個採れ、ふりかけ法を行うと3個が受精し、5日目胚盤胞が2個凍結できました。胚盤胞凍結は1年8ヶ月ぶりでした。幸い、初回の胚盤胞移植で妊娠されました。ビタミンDのサプリを摂取開始してから4ヶ月後のことでした。妊娠初期、ビタミンD値は30以上・正常値になっていました。その後、無事に卒業されました。44歳以降では、タマゴが育ち難くなります。何とか間に合いました。(2020年5月)
AMH0.1未満、月経不順の方。他院でFSHは40台、卵巣機能低下を指摘され、当院へ転院されて来られました。初診時、卵巣は小さく卵胞は左に1個、FSH30台と卵巣機能が低下した状況でした。その周期は自然経過で排卵は月経59日目と、かなり遅めでした。高温期のホルモン値は低く、高温期はガタガタでした。翌周期の月経3日目、遺残卵胞あり。同様に排卵後の高温期のホルモン値は低い状態でした。数周期、月経周期を調整。月経3日目、左に4ミリ大の卵胞が1個のみ。卵胞発育は1個でしたが、初回の採卵で成熟卵が1個採れました。ふりかけ法を行いましたが、残念ながら受精なしでした。翌周期、遺残卵胞はなく、卵胞は左に6ミリと4ミリの2個と少なく、FSHは50台前半と、かなり高い状況。自然周期で卵胞は同じ大きさで育ち、2回目の採卵へ。成熟卵が2個採れました。顕微授精ではなく、今回も、ふりかけ法を行いました。2個とも受精し、ひとつが順調に分割。新鮮初期胚移植を行ったところ、幸い妊娠されました。その後は順調に経過し、無事に卒業されました。通院中、右卵巣には一度も卵胞発育はなく、左の卵胞は少なく、卵巣はギリギリの状態でした。遠方からの通院でしたが、何とか間に合いました。(2020年1月)
45歳、AMH1未満の方。他院にて採卵3回(クロミッド周期)、移植1回を経て、知人の紹介で転院されて来られました。卵胞は少なく、卵巣機能が低下した状況でした。初回の採卵、卵胞発育は1個。成熟卵が1個採れました。ふりかけ法で受精し、初期胚で凍結しました。移植しなかったのは、途中で子宮内膜ポリープがみつかったからです。翌周期、月経時期の卵胞は1個と少なく、FSHは20でした。この周期は子宮内膜ポリープ切除を行い、採卵は休みました。翌周期の月経時期、卵胞は6ミリと5ミリ、さらに小さな4ミリを認めました。卵胞発育は1個、採卵し成熟卵が1個採れました。ふりかけ法で受精し、新鮮胚移植へ。残念ながら陰性でした。月経周期を整えて、次は採卵と凍結融解胚移植(ドミノ移植)へ。採卵では成熟卵が2個採れました。移植した胚は着床したのですが、hCG値は低く、すぐ下がってしまいました。一方、培養していた胚は順調に発育し、胚盤胞が1個凍結できました(5日目)。ここまで注射の使用はなしです。ビタミンD値が低かったので、サプリを飲み始めていただきました。その後、自然排卵周期で初回の胚盤胞移植を行うと、妊娠されました。そして無事に卒業されました。治療のリミットが迫る中、わずか数個の成熟卵でしたが、その中に貴重なタマゴがいました。卒業時は46歳でした。(2019年12月)
40歳、AMH1未満の方。他院にて採卵9回(高刺激3回、低刺激6回)。40歳の誕生日を過ぎてから次第にタマゴが採れなくなり、直前の3回の採卵では、未成熟卵、卵子なし、分割停止という状況。初診時のFSHは20台前半、胞状卵胞は2〜3個、卵巣機能が低下した状態でした。初回の採卵周期、左卵巣の卵胞二つが同じ大きさで育ち、成熟卵2個が採れました。5日目胚盤胞1個を凍結できました。翌周期、FSHは20台後半、胞状卵胞は2個と少ない。小さい卵胞からも採れ、何とか成熟卵2個が採れました。残念ながら、2回目は初期胚盤胞で停止となりました。すこし休みを入れ、月経の周期を整えて卵巣の回復待ち。3回目の採卵で、胚盤胞2個を凍結できました。自然排卵周期で初回の胚盤胞移植を行いましたが、残念ながら着床反応のみでした。銅・亜鉛検査を追加。亜鉛が低く、亜鉛サプリを服用していただき、その後正常範囲内へ。2回目の胚移植(5日目胚盤胞・不良胚)で妊娠されました。無事に卒業されました。なお、移植周期のFSHも20台前半でした。妊活中はとてもストレスが多く大変でしたが、転院後はストレスは少なく過ごせましたと。卒業時は42歳でした。(2019-9月)
39歳、低AMHの方。高度の男性不妊のため顕微授精の適応。他院にてクロミッド周期の採卵2回、初期胚移植1回を経て、転院されて来られました。転院周期の月経3日目、FSHは20台後半、胞状卵胞は左卵巣に1個と少なく、卵巣機能が低下した状態でした。同一周期の高温期のホルモン値は低く、調整して卵巣機能の回復待ち。排卵時期の子宮内膜は、以前と同様に薄く、6.5ミリでした。初回の採卵周期、胞状卵胞は右卵巣には認めず、左卵巣に3個。その後、二つの卵胞がほぼ同じ大きさで育ち、初回の採卵へ。成熟卵1個が採れました。顕微受精を行い、無事に受精・分割し、胚盤胞で凍結できました(5日目)。採卵の翌周期、今回もFSHは20台後半、胞状卵胞は左卵巣に1個。ご本人の予定と合わず移植は見送り。排卵時期の子宮内膜は6ミリと今回も厚くなりませんでした。さらに翌周期は月経3日目で卵胞18ミリと大きな遺残卵胞がありました。月経周期を整えて、さらに翌周期、胞状卵胞は1個、遺残卵胞なし。ここまで排卵時期の子宮内膜が6ミリと薄いので、ホルモン補充周期をしてみましたが、薄いままでした。スクラッチを追加して移植へ。幸いなことに妊娠されました。卵胞数は少なく、精子の状態も良くはなく、子宮内膜も薄いという不利な条件が重なる中、貴重な1個のタマゴが育って着床しました。無事に卒業されました。(2019年7月)
42歳の方。40歳から採卵4回、初期胚移植1回を経て転院されて来られました。後半の3回はクロミッド周期,卵子なし→自然周期,変性卵→自然周期,卵子なしという状況でした。卵巣嚢腫の手術歴があり、卵胞数は3〜4個と少なく卵巣機能が低下した状況でした。初回の採卵、卵胞発育は1個でしたが、成熟卵が1個採れました。ふりかけ法を行い、幸い、6日目胚盤胞が凍結できました。自然排卵周期で胚盤胞移植を行いましたが、残念ながら陰性でした。その後、採卵を3回行い、5日目の胚盤胞3個が凍結できました。子宮内膜は6ミリと厚くないため、スクラッチも行い、次も自然排卵周期で胚移植を行ったところ妊娠されました。無事に卒業されました。それまで育たなかったのに、ひとつ胚盤胞ができると、続けて胚盤胞ができることがあります。難しい状況でしたが、何かが良くて、大波に乗れました。(2019年6月)
42歳の方。10年前から妊活を始めていたのですが、結果が出ないため、休まれた時もあったようです。初診時のFSHは20台前半、胞状卵胞は3個と少なく、卵巣機能が低下した状態でした。初回の採卵、自然周期で成熟卵1個が採れましたが、ふりかけ法で残念ながら受精しませんでした。2回目の採卵、受精しましたが途中で発育が止まってしまいました。ビタミンDを検査すると、値は20未満で欠乏状態でしたので、サプリを摂取へ。すこし休みをとり、月経周期を整えて次の周期へ。月経3日目に遺残卵胞はなく、治療再開。月経11日目にみえた卵胞は8ミリと7ミリのふたつ。まだ小さく、いつもより遅めですが、その後は順調に育ち採卵へ。結果は、成熟卵2個が採れました。注射はなしです。1個が無事に受精・分割し、新鮮初期胚移植を行うと、妊娠されました。ご結婚15年目で初めての妊娠でした。そして、無事に卒業されました。なお、妊娠初期にビタミンDを再検査すると正常範囲内に改善していました。当院を紹介してくれた友人に、よい報告ができそうです。(2019-5月)
43歳の方。当院で低刺激周期の採卵を行い、採れたひとつの卵子は残念ながら未成熟卵、他も変性卵でした。翌周期、月経3日目のFSHは30台前半と高く、経過を考慮してお休みしました。さらに翌周期、遺残卵胞があり、まだ月経11日目ですが卵胞は20ミリと大きく、翌日にはもう排卵してしまいました。かなり卵巣機能が不安定な状況です。月経周期を整えて次の周期へ。月経5日目で見えた卵胞は5ミリと4ミリのふたつ。FSHは20台後半でした。くすりを使わずに自然に卵胞発育を待ちました。中サイズの卵胞がひとつ成長し、他にふたつの小さい卵胞(9ミリと8ミリ)が見えました。自然周期採卵へ。幸い、成熟卵3個が採れました。空胞はありませんでした。ふりかけ法ですべて受精し、その中のひとつが胚盤胞で凍結できました(6日目)。子宮内膜は7ミリとあまり厚くはありません。スクラッチも行い、自然排卵周期で胚移植行うと、妊娠されました。年齢、FSH値、卵胞数、内膜の厚さ、凍結時期等、不安要素には事欠きませんが、間に合いました。桜満開の時期に、無事に卒業されました。ご主人がとても優しい方でした。(2019年4月)
30代後半の方。卵胞数は2〜3個と少なく、卵巣機能が低下した状況。月経周期は24〜25日と短く、初診時の月経12日目で既に排卵済みでした。翌周期の月経3日目、12ミリの遺残卵胞がありました。その周期も月経12日目には排卵済みとなりました。遺残卵胞をくり返しているようです。月経周期を整えてから初回の採卵へ。月経時期の卵胞は3個でした。低刺激法(注射1本併用)で採卵し、成熟卵2個が採れ、ふりかけ法で2個とも受精しました。幸い新鮮初期胚移植で妊娠され、無事に卒業されました。30代でも卵胞数が少ない方は、遺残卵胞に悩まされます。そのまま育った卵胞は空胞かもしれません。何か工夫をしないと、よい周期にめぐり合うのが難しくなります。(2019年2月)
AMH0.1の方、月経周期は23〜24日と短く、卵巣機能が低下した状況。他院にて採卵5回、胚移植3回を経ての転院。初診時のFSHは20、胞状卵胞は右卵巣には認めず、左卵巣に2個でした。卵胞数は少ないのですが、幸い遺残卵胞がない状況だったので、そのまま卵胞発育をフォローしました。二つとも同じ大きさで育ち、そのまま初回の採卵へ。成熟卵1個が採れました。もう一つは変性卵でした。ふりかけ法で受精し、幸い6日目の胚盤胞(4BC)で凍結できました。翌周期、自然排卵周期で胚盤胞移植を行いました。SEET法も行いました。移植7日後の判定日、hCG値は100を超えていました。グレードの低い6日目の胚盤胞でしたが、その後も順調。結婚10周年を迎える今年、無事に卒業されました。「約3年間続けた鍼灸もあとすこし」と。良い周期に巡り合えてよかったです。(2019年1月)
42歳の方。他院にて高刺激法(アンタゴニスト法)での採卵3回、移植1回を経て転院されて来られました。3回目の採卵では卵胞は4個育ちましたが、すべて空胞だったそうです。もともとAMHは1未満、月経周期は24日間と短く、卵巣機能は低下していたと思われます。転院直後の周期では、くすりを使わずに卵胞発育を待ちました。排卵後の黄体ホルモン値は通常の半分以下と極めて低く、高温期はガタガタに乱れた状態でした。高刺激後は月経周期が乱れます。卵巣の回復を待ちました。月経周期を整えてから初回の採卵周期へ。胞状卵胞は3個、すこし刺激をしました。成熟卵2個が採れました。空胞はありませんでした。ふりかけ法を行うと無事に受精し、新鮮初期胚移植を行うと、妊娠されました。そして師走の到来前に無事に卒業されました。卒業時は43歳でした。(2018年12月)
AMH0.1、FSH20台前半の方。他院にてクロミッド周期の採卵7回(成熟卵10個)、移植3回を経て、転院されて来られました。転院直前の3回の採卵は分割停止、異常受精、空胞という状況。初診時の卵巣サイズは左右とも小さく、胞状卵胞は1個のみと少ない状態でした。月経周期を整えてから、採卵へ。月経時期の胞状卵胞は1個のみ、お薬を使わずに経過観察。小さな卵胞は自然に発育し、初回の自然周期採卵で成熟卵1個が採れました。ふりかけ法を行い、幸い、5日目胚盤胞が凍結できました。その後、FSH30台、40台の周期を経て、移植周期へたどりつき、初回の自然排卵周期の移植で妊娠されました。無事に、卒業されました。卵胞数は少なく、FSHが不安定という中で、幸い間に合いました。(2018年11月)
30代後半の方。高度の男性不妊のため顕微授精の適応。他院にて高刺激法(ロング法1回、ショート法1回、アンタゴニスト法2回)での採卵を4回(成熟卵38個:平均9.5個)、その中から合計10個の胚を移植するも結果が出ないため転院されて来られました。前周期に卵巣刺激を受けていたので、二周期かけて遺残卵胞を消してから採卵へ臨みました。低刺激法で採れた成熟卵は4個、これまでより少ないのですが、5日目胚盤胞が3個凍結できました。以前は薬剤を多めに使用して胚移植を受けていましたが、当院では自然排卵周期で胚盤胞移植を行いました。幸いなことに初回の胚移植で妊娠されました。初回の体外受精から無事に卒業するまでに4年半の月日が流れていました。今回は高刺激法から低刺激法を変更してみました。なお、経過により、低刺激法から中〜高刺激法に変更する場合もあります。その都度、考えます。(2018年10月)
初診40歳の方。36歳から体外受精を始め、採卵10回、移植10回(初期胚1回、胚盤胞9回)を経て転院されて来られました。「これまで、グレードの良い胚盤胞を移植しても、結果が出ませんでした」と。月経周期を整えてから、採卵周期へ。自然周期で経過をみると卵胞の育ちはゆっくりで、途中から思い出したように注射を併用し(3回)、たどりついた採卵は月経21日目と通常より遅めでした。ゆっくり育った6日目の胚盤胞が二つ凍結できました。初回の自然排卵周期の移植もスローペースで進み、残念ながら陰性でした。すこし周期をあけて、次も再び自然排卵周期の移植でトライ。移植後7日目の判定日、hCG値は12でした。さらに3日後のhCG値は30台後半。数値は、まだ100に届きません・・・・が、その後、胎嚢が確認でき、無事に卒業されました。採卵日が遅く、凍結日も遅く、グレードも低く、hCG値が低くても、何とか卒業にたどりつきました。大器晩成のタマゴちゃん、親に心配をかけどおしの子供が、立派な大人になったみたいです。多くの方に勇気を与えてくれます。(2018年9月)
40歳の方。他院にて胚移植は3回。月経周期は24〜27日と短く、排卵が早い状態でした。他院でアンタゴニストを使用するも排卵済みで採卵中止ということもあったようです。初診時のFSHは20台前半、翌周期は30台、胞状卵胞は2〜4個と卵巣機能が低下した状態でした。卵巣をすこし休ませて、遺残卵胞を排卵させ、月経周期を整えてから、採卵へ。FSHは高く、卵胞は少ないので自然周期採卵へ。初回の採卵で成熟卵2個が採れました。ひとつを新鮮初期胚移植しましたが陰性でした。残りのひとつが5日目の胚盤胞で凍結できました。翌周期も採卵へ。採れたのは成熟卵1個のみでしたが、5日目の胚盤胞で凍結できました。その後、すこし治療を休まれました。月経周期が整ったところで治療再開。自然排卵周期で胚盤胞移植を行い、無事に妊娠され卒業されました。文章にすると短いのですが、治療を休まれることもあり、通院期間は長くなりました。卵巣が悲鳴を上げている時は、すこし休んだ方がよいのかもしれません。(2018年8月)
41歳の方。他院にて30代後半より体外受精を行い、胚移植12回を経て転院されて来られました。初診時のFSHは20台、胞状卵胞は4個でした。遺残卵胞を排卵させ、月経周期を整えてから、採卵周期へ。低刺激法で成熟卵が3個採れましたが、残念ながら発育は停止。翌周期、FSHは20台、胞状卵胞は3個、遺残卵胞はなし。発育した卵胞はひとつのみですが、成熟卵1個が採れ、5日目の胚盤胞で凍結できました。その後の採卵で二個目の胚盤胞が凍結できたところで移植へ臨みました。自然排卵周期の胚盤胞移植で妊娠され、無事に卒業されました。卵巣機能が低下すると、採れる個数も少なくなります。ひとつの卵胞が貴重な妊娠をもたらしてくれました。(2018年7月)
初診42歳の方。これまでに高刺激法(ショート法・アンタゴニスト法)での採卵を3回い、移植胚の数が10個に達しところで、転院されて来られました。胞状卵胞は3個から4個、直近の月経周期は乱れた状態(無排卵→20日周期→35日周期→24日周期)でした。遺残卵胞を排卵させ、月経周期を整えてから、採卵周期へ。途中で注射を1本使い、低刺激法で卵胞を育て採卵へ。4個の成熟卵が採れました。その中から胚盤胞を2個凍結できました。以前より子宮内膜が6ミリ弱と薄く、初回の胚移植は前医と同じようにホルモン補充周期で行いましたが、厚さは6ミリ前後のまま、結果は残念ながら陰性でした。二回目の胚移植は自然排卵周期+スクラッチで行いました。幸いなことに妊娠され、無事に卒業しました。内膜の厚さなのか、胚の質なのか、妊娠し難かった原因は不明ですが、40代では同じようなケースの方が多くいらっしゃいます。二つの要因が重なると、結果が出にくくなってしまいます。果たして、何がよかったのか。今回は移植周期にスクラッチを行いましたが、よい効果があったのかもしれません。とても貴重な妊娠です。(2018年5月)
初診44歳の方。直近の一年間、他院で採卵を続けるも胚盤胞まで育たないため転院されて来られました。FSHは20台(時に30台)、胞状卵胞は2個から3個と卵巣機能が低下した状態でした。遺残卵胞を消して採卵へ。成熟卵が1個採れ、これまでは顕微授精を行っていたようですが、ふりかけ法を行いました。その後、順調に発育し、新鮮初期胚移植を行いました。結果は、着床反応は出ましたが、残念ながら化学流産でした。培養器の中で育つことがなかった卵が、卵管の中で胚盤胞まで育ったという事実が残りました。
hCGが陰性化してから月経周期を整えて、再び採卵周期へ。月経3日目で卵胞は1個のみ、E2は10台でした。月経7日目で5ミリと6ミリ、E2は40台、小さな二つの卵胞が見えました。その後、二つの卵胞が同じ大きさで育ち採卵へ。幸い、成熟卵が2個採れました。今回も顕微授精ではなく、ふりかけ法を行いました。今回は胚盤胞培養へトライ。培養が順調に進み、待望の胚盤胞が1個凍結できました。初回の胚盤胞移植で妊娠されました。40代の方の妊娠は流産率が高く(45歳以上で6割超え)、患者様もスタッフも、皆がドキドキして迎えた卒業の日。卒業時は45歳でした。
胚盤胞まで育てるか、初期胚で移植するか、顕微授精か、ふりかけ法か、様々な事が複雑に絡む不妊治療ですが、正解を患者様毎に探す日々です。(2018年1月)
初診43歳、他院にて採卵9回、胚移植1回の方。誕生日を目前にして転院されてきましたFSHは20台、胞状卵胞は2個、卵巣機能は低下した状態でした。前周期のアンタゴニストの影響だと思いますが、高温期のエストロゲン、プロゲステロンの値は共に低く、高温期はガタガタでした。すこし調整して採卵へ。翌周期、FSHは高いものの、幸い、遺残卵胞はなく、胞状卵胞は3個見えました。お薬を使わない自然周期採卵で成熟卵3個が採れ、胚盤胞2個を凍結できました。さらに翌周期、胞状卵胞は2個と少ないものの、自然周期採卵で成熟卵2個が採れ、胚盤胞1個を凍結できました。初回はホルモン補充周期で移植を行いましたが、残念ながら化学流産に終わりました。二回目は自然排卵周期で胚移植を行い、妊娠され、無事に卒業しました。卒業時は44歳でした。
FSHは高いものの、調整を続けるうちに、良い方向へ転じて、好機が訪れたのではと思います。今回のように、それまで胚盤胞にならなかった方でも、ひとつ胚盤胞ができると、続けて胚盤胞ができることは、よく経験します。(2017年12月)
他院にて高刺激法(ショート法、アンタゴニスト法)での採卵を合計4回行った方。月経周期がバラバラに乱れた状態で転院されてきました。とても乱れていました。月経周期を整え、遺残卵胞を消してから、ようやく採卵へ。低刺激法で採卵を行い、2個の成熟卵が採れました。その後、2個とも胚盤胞で凍結できました。以前はホルモン補充周期で移植されていたようですが、月経周期も整っており、翌周期に自然排卵周期での胚盤胞移植を行いました。幸いなことに妊娠され、無事卒業されました。採れた成熟卵の個数は少なかったのですが、貴重な妊娠につながりました。月経周期を乱さないような治療法が、すこし役立ったのではないかと思います。(2017年12月)
FSH20台後半の方。胞状卵胞が、わずか1個か2個、月経不順の状態で転院されて来られました。卵巣サイズは小さく、残りの卵子数が極めて少なく卵巣機能が低下した状況でした。胞状卵胞が1個だった初回の自然周期採卵では、回収できた卵子は未成熟卵のため中止。次の採卵は、残念ながら空胞(卵子なし)でした。心が折れそうになるところを何とか踏ん張り・・・、周期を整えて次の採卵へ。遺残卵胞はなく、大きさの揃った2個の胞状卵胞が、同じペースで発育し、両方から成熟卵が回収できました。2個とも順調に受精・分割し、その中の一つを新鮮初期胚移植し、幸い妊娠され、無事卒業されました。大きな安堵のため息が出ます。(2017年11月)
40歳の方。高度の男性不妊のため顕微授精の適応。他院にて高刺激法(ショート法、アンタゴニスト法)での採卵を5回(成熟卵30個)を行い、胚盤胞移植は全て陰性でした。結果が出ないため転院されてきました。初回の採卵周期、低刺激法の採卵で成熟卵1個がとれましたが、分割不良のため残念ながら培養中止となりました。翌周期は、卵胞の発育経過が不良で見送りました。遺残卵胞を消して、2回目の採卵へ。胞状卵胞は4個。低刺激法の内容を前回から変更しました。成熟卵3個、未成熟卵1個が採れ、その中から6日目胚盤胞で1個凍結できました。その後、初回の胚盤胞移植で妊娠され、無事卒業されました。高度な男性不妊もあり、妊活終了目前での妊娠だったようです。凍結胚は残っておりませんのでラストチャンスで掴んだ貴重な妊娠です。採れた成熟卵の総個数は30分の4ですが、結果につながり、良かったです。(2017年10月)
FSH30台、AMH1未満の方。月経周期が短く、遺残卵胞が続く状態で来院されました。胞状卵胞は2個と少ない状態でした。初回周期、遺残卵胞あり、排卵が早い。翌周期も遺残卵胞がありました。遺残卵胞を消して、初回の採卵周期へ。月経3日目、遺残なし、胞状卵胞は2個。ふつうに育ち、自然周期採卵で成熟卵2個がとれました。ふりかけ法で受精し、2個とも胚盤胞で凍結できました。翌周期、遺残なし、胞状卵胞は2個。2回目の採卵へ。成熟卵1個がとれました。ドミノ移植の予定でしたが、幸いなことに新鮮胚盤胞移植できました。そして、初回の胚移植で妊娠されました。つわりが続き体調不良でしたが、二つの凍結胚盤胞を残して無事卒業されました。準備が奏功した妊娠例です。遺残卵胞とうまく付き合うには?非常に難問です。(2017年9月)
FSH20台前半の方。転院時、胞状卵胞は2個と少ない状態でした。左の卵巣にはチョコレート嚢腫があり、胞状卵胞は見えませんでした。初回の自然周期採卵で右卵巣側から成熟卵1個がとれましたが、分割不良のため培養中止となりました。翌周期、胞状卵胞は1個のみ。2回目の自然周期採卵へ。右卵巣側から成熟卵1個がとれ、今回は無事に新鮮初期胚移植(2日目)を行うことができ、幸い、初回の胚移植で妊娠されました。通院中に左卵巣側からの卵胞発育はなく、右卵巣側の卵子も少なく、かなり卵巣機能が低下した状態でした。ギリギリセーフです。(2017年8月)
初診44歳の方。FSHは20台、胞状卵胞は2個から3個、卵巣機能は低下した状態でした。FSHが高いため、くすりを使わずに自然に経過をみました。途中から刺激を少し加えて採卵すると成熟卵2個が採れました。その中のひとつが5日目の胚盤胞で凍結できました。翌周期にも胚盤胞が1個凍結できました。幸いなことに、初回の胚盤胞移植で妊娠されました。卒業時は45歳でした。何事もほどほどがよいのかもしれません。(2017年7月)
初診45歳の方。他院にて高刺激(注射14日間)での採卵をするも空胞のため、3月に転院されて来られました。初回の月経周期、FSHは50台前半と高く、胞状卵胞は見えず、卵巣機能は低下した状態でした。一週間後の診察で卵胞を認め、自然周期採卵へ。成熟卵1個と未成熟卵1個が採れました。受精・分割が進み、ひとつは新鮮初期胚移植できましたが、残念ながら陰性でした。翌周期、FSHは40台後半と高いものの、胞状卵胞は1個見えました。その卵胞が発育し、2回目の自然周期採卵へ。採れた成熟卵は1個ですが、受精・分割が進み、5日目の胚盤胞で凍結できました。翌周期、自然排卵周期の胚移植で妊娠されました。卵巣機能が低下した状態の卵巣に対しては、高刺激ではなく自然周期がよかったようです。(2017年6月)
FSH20台前半、AMH1未満の方。他院にて数年間、高刺激法(アンタゴニスト法、ショート法)で採卵10回、初期胚移植を3回行うも全て陰性、胚盤胞へ未到達という状況で、結果が出ないため転院されて来られました。初回周期、胞状卵胞はわずか1個、卵巣機能は低下した状態でした。自然周期採卵で成熟卵が1個採れたものの未受精でした。翌周期は胞状卵胞が2つ見えました。低刺激法で採卵を行い、2個の成熟卵を回収し、今回は2つとも受精・分割し、ひとつを新鮮初期胚移植できました。幸いなことに、もうひとつの胚は5日目胚盤胞で凍結保存できました。さらに、幸いなことに、初回の初期胚移植で妊娠されました。(2017年6月)
初診46歳の方。他院にて採卵12回(低刺激クリニックで採卵8回→高刺激クリニックで採卵4回)するも、胚移植は1回、直近の4回中3回は空胞という状態で来院されました。胞状卵胞はわずか1個、FSH20台後半と卵巣機能は低下した状態でした。アンタゴニストの影響による遺残卵胞を消して、採卵へ。初回・2回目の自然周期採卵でともに成熟卵は採れましたが、受精・分割の段階で中止。引き続きFSHは20台後半のまま。3回目の自然周期採卵、採れた成熟卵は1個ですが5日目の胚盤胞で凍結できました。はたして卵巣の状態が回復したのか、その次の採卵、そしてさらに次の採卵(低刺激)で続けて胚盤胞となりました。自然排卵周期で胚移植を行い妊娠されました。不要なものをひとつずつ引いて、卵巣が少し回復したのかもしれません。(2017年6月)
チョコレート嚢腫の手術既往(2回)の方。手術の影響で卵子は少なく、胞状卵胞はわずか1個の状態。卵巣機能は低下し、月経不順でした。初回採卵は残念ながら変性卵、次も変性卵、その次も変性卵でした。とても厳しい状況ですが、遺残卵胞を消して、4回目の採卵へ。ゆっくり育った卵胞が1個。自然周期で19日目の採卵でした。子宮内膜症による癒着で卵巣の位置が上方にあるため、経腟採卵が困難であり、前回に引き続き経腹採卵(お腹から針を刺して採卵)を行い、何とか成熟卵1個を回収できました。ふりかけ法で無事に受精・分割し、胚盤胞で凍結できました。翌周期、自然排卵周期で胚移植を行い妊娠されました。とても貴重な妊娠です。(2017年6月)
最近7ヶ月間のまとめです。採卵当日の年齢が37歳以下の方は全体の20%でした。40歳以上の方は全体の65%でした。平均年齢は40.4歳です。4月は41.3歳でした。
クロミッド周期について:当院ではクロミッドの使用は卵巣機能が良好な方に限定しています。卵巣機能が低下したから、そろそろクロミッドを使いましょうということではありません。40歳以上でクロミッドを使用した方の割合は、わずか15%でした。「クロミッドを使用しなかった方」=「卵巣機能が低下している方」とは必ずしも言えませんが、もしそのように考えると、卵巣機能が低下している方の割合は、40歳以上で約85%と言えるかもしれません。(2017年5月)
PCOS+男性不妊の方。数カ所で低刺激による採卵12回(成熟卵40個以上、胚盤胞12個)、ホルモン補充周期で胚盤胞移植を繰り返すも結果が出ないため転院されてきました。ホルモン補充周期とピル服用を繰り返し、数ヶ月間、無排卵の状態でした。月経周期を調整後、低刺激法で採卵し胚盤胞を1個凍結。排卵周期で胚移植を行い、初回の胚盤胞移植で妊娠されました。何かを引いて、何かを加え、何かを少し変えてみました。PCOSの取り扱いはとても難しいです。(2017年4月)
両側卵巣嚢腫の手術既往の方、低AMH(0.5)を指摘されていました。転院時、FSH20台後半、胞状卵胞は4個と少ない状態でした。初回採卵では成熟卵2個がとれましたが未受精のため中止となりました。翌周期は遺残卵胞のため見送りました。今周期の胞状卵胞は1個、自然周期で採卵を行いました。回収できた成熟卵1個が無事に受精・分割し、新鮮初期胚移植(3日目)を行い、幸い、初回の胚移植で妊娠されました。卵巣は綱渡り状態と思われます。(2017年3月)
40歳の方。他院にて高刺激法での採卵を行い、胚移植回数は12回ですが、全て陰性でした。結果が出ないため、5月に転院されてきました。FSH値は10台後半でした。7月に低刺激法で採卵を行い、成熟卵5個のうち胚盤胞で凍結できたのは1個のみでしたが、11月の自然排卵周期の胚移植で初めて妊娠されました。貴重な1個です。(2016年12月)
PCOSの方。他院で高刺激による採卵2回(成熟卵50個以上)、ホルモン補充周期で胚盤胞移植7回を行いましたが、結果が出ないため、5月に転院されてきました。初診は月経34日目ですが、クロミッド服用後の30ミリ大の卵胞が複数発育した未排卵の状態でした。翌周期も遺残卵胞がみられました。月経周期を調整後、8月に低刺激法で採卵し、胚盤胞を4個凍結できました。10月、排卵周期で胚移植を行い、幸い、初回の胚盤胞移植にて妊娠されました。色々変えてみました。PCOSの取り扱いはとても難しいと思います。(2016年12月)
43歳の方が卒業されました。通院10ヶ月目です。仕事帰りの夕方に来院されますが、疲れを見せず、いつも笑顔でした。FSH値は10台後半でした。(2016年12月)
無排卵、PCOSの42歳の方。過去3年間で他院で採卵7回(成熟卵64個)を行いましたが、結果が出ないため、4月に転院されてきました。無排卵のため、月経周期を調整後、翌周期に発育した卵胞2個を採卵し、成熟卵2個がとれ、そのうちの1個が胚盤胞で凍結できました。翌周期は休み、その次の周期での2回目の採卵を行いました。発育した卵胞2個から回収できた成熟卵は1個のみですが、ドミノ移植の予定とし、幸い、新鮮胚盤胞移植にて妊娠されました。卵胞刺激で使用したFSH製剤は、いずれも3本です。PCOSの取り扱いはとても難しいです。(2016年9月)
FSH20台の方。前医でクロミッド採卵で成熟卵1個採れましたが、未受精のため治療終了となり、その後、一年間以上不妊治療をお休みしていました。今回、治療再開を決意して、4月に転院されてきました。初診時のFSH20台、胞状卵胞は2個と少なく、卵巣機能が低下した状態でした。遺残卵胞を消し、翌周期の採卵で何とか成熟卵2個がとれ、無事に受精し分割し初期胚で2個凍結。翌周期、自然排卵周期で胚移植を行い、妊娠されました。(2016年7月)
40歳の方、前医でアンタゴニスト法での採卵を2回(成熟卵10個)行いましたが、胚盤胞に至らず、4月に転院されてきました。遺残卵胞を消し、その翌周期に低刺激法で採卵にトライ。5個とれた成熟卵のうち3個が胚盤胞で凍結できました。翌周期の自然排卵周期の胚移植で妊娠されました。巡り合わせが良かったのだと思います。(2016年7月)
6月生まれは双子座の方が多いと思います。42歳の方がお二人、同じ双子座ですが、誕生月に卒業されました。初診されたのも昨年末の同じ時期でした。お二人ともタイミング療法での妊娠です。何かのご縁でしょう。一人の方は初診時のFSH値は29、もうお一人の方は10台でした。(2016年6月)
前医でクロミッドを使用し卵胞が育たず、FSH70台まで上昇し、その直後に転院されてきた方。次周期で遺残卵胞で消し、その翌周期に採卵にトライ。2個とれた成熟卵のうち1個が5日目胚盤胞で凍結保存できました。「次の胚盤胞移植を最後の治療にします」と話されています。次がラストトライです。(2016年4月)
43歳の方、転院前の複数の病院で何度採卵したか分からないと。最初の2周期は胚盤胞を目指すも胚凍結できませんでした。3周期目は自然周期採卵で1個採取し、転院後初の胚盤胞凍結ができました。幸いにも、その凍結胚盤胞の自然排卵周期の胚移植で妊娠しました。(2016年4月)
FSH40台の周期ですが、そのまま自然周期採卵にトライ。1個とれた成熟卵が、無事に5日目胚盤胞で凍結保存できました。転院後、2カ月連続で凍結できました。これからです。(2016年3月)
FSH30台の方。前周期の初回の採卵で空胞だった43歳の方、今週期はFSH値が30台に上昇するも、採卵で成熟卵2個がとれ、2個とも受精・分割が進み、ひとつを新鮮初期胚移植、もうひとつは幸いにも5日目胚盤胞で凍結保存という結果でした。(2016年3月)
開院から3カ月が経過した時点で、当院での妊娠例(胎のうを確認)の最高齢は44歳の方です。前医にて胚盤胞移植を何度もされておりましたが、これまで一度も着床反応がなかった症例です。今回、初期胚移植にて妊娠されました。どの時期の胚を移植するかは、適宜相談しまて決めます。
FSH20台の方。前医で体外受精を目的に約半年間通院し、空胞が続き卵子がとれず、約半年間で卵子1個のみという経過で転院されて来られました。転院時のFSH値は20を超えていましたが、幸い、何かを少し変えてみたところ、初回周期の採卵で成熟卵2個がとれ、受精卵になりました。前医では顕微授精のみでしたが、今回は体外受精と顕微受精を各々行ない、どちらも受精し、ひとつは初期胚、もうひとつは胚盤胞で凍結保存できました。何を変えるかを毎周期考えます。(2016年2月)
当院で採卵した患者様の採卵当日の平均年齢は40.3歳です。37歳以下の方が全体の25%、38歳以上の方が全体の75%です。現時点では、37歳以下では自然周期採卵は無く、クロミッド、またはレトロゾールを使用しています。43歳以上に限ると半数の方は自然周期採卵、残りはクロミッドとレトロゾールの使用が半々という割合です。